二流×二流=人に負けない結果が出せる

大学を出て技術者として働いた。毎日忙しく、土曜出勤は当たり前で2ヶ月間休みがなかったり、平日は家にいる時間が6時間以下とか。それでも周囲に比べて仕事ができない気がして「自分は技術者としては二流」と考え始めていた。30歳になろうとしたとき、「自分の二十代に何をしたか、このまま定年まで二流のままで行くのだろうか」ということを考えた。

そして「技術者としては二流でも、別の分野の特長を持てばほかの人と対等になれるのではないか」と考えるようになった。「別の分野とは何か・・」。中学生の時に人より英語ができたことを思い出した。中学では自分よりできなかった同級生が英語の教員免許を取ったことがずっと頭に引っかかっていた。そこで、街の英会話学校へ行ってみた。当時平日は毎日11時ころまで働いていたが、上司に「週一回だけ7時に帰らせてくれ」とお願いして通いはじめた。「技術だけでは二流」でも「英語と技術の二本で勝負しよう」と考えた。英会話学校のパンフレットにアメリカ人と握手する日本人の写真があった。それに自分の姿を重ねて、いつか「こうなろう」と思った。

学校に行くようになって、カナダ人の先生やクラスの人たちと話す中で、視野が広がった。英語も急激にできるようになった。自分に合っていたからだと思う。先生の勧めで短期留学した。そして英語を使う外資系企業に転職した。3年くらいして海外への大きな新規ビジネス展開に参加できた。 自分の製品が展示されたイベントに製品説明のために立っていた時、アメリカ人幹部が訪れて握手をした。そのときの写真をイベント事務局からもらったとき、「叶った」と思った。パンフレットを見て「こうなろう」と思ったときから8年経ったときだった。 「技術」では一流ではない。「英語」でも一流とは言えない。でも二つを合わせれば人に負けない結果を出せるはず。29歳のときのその判断は正しかったと思う。 退職して違う世界に進んだ今でも考えは同じ。「英語」では一流とは言えないし「イラスト」も一流ではない。でもその二つを併せればなんか行けると考えている。

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